細胞医療の時代2018シリーズ

「第6回  細胞を用いた再生医療への挑戦(神経疾患、肝臓疾患)

​​

日時:2018年12月19日(水)18時30分~20時15分

​講師:岡野栄之先生(慶應義塾大学医学部生理学教室 教授) 

​   宮島 篤先生(東京大学定量生命科学研究所 幹細胞創薬社会連携研究部門 教授)

参加費:1,000円(学生、健康医療開発機構会員、未病社会の診断技術研究会会員は無料)

場所:東京大学医科学研究所 講堂 (港区白金台4-6-1)

   ※17時30分以降は正面入り口のドアが閉まります。講堂左側の入り口よりお入りください。

【当日の予定】

18:30~18:35 挨拶(理事長 珠玖洋または谷憲三朗)
18:35~19:15 岡野栄之先生ご講演
19:15~19:25 討議
19:25~20:05 宮島 篤先生ご講演
20:05~20:15 討議 

​20:30より    懇親会  ​ 医科研近隣レストランにて 会費:3,000円程度

​医科研内駐車場が有料になりました。お車でお越しの際はご注意ください。

​駐車料金の詳細が必要な方は、事務局(npotrnetworks@gmail.com) までお問合せください。

【講演概要その1】 

講師岡野栄之先生(慶應義塾大学医学部生理学教室 教授)

講演タイトル:iPS細胞技術を用いた中枢神経系の再生医療と疾患研究

講演概要:私たちは、長年神経幹細胞移植による脊髄損傷の再生医療の開発を行っており、現在ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた亜急性期脊髄損傷(頸髄および胸髄の完全損傷)の再生医療のPhaseI-IIa試験(臨床研究)の”First-human-trial”を目指している。現在特定認定再生医療等委員会に第1種再生医療提供計画を提出し、審査も大詰めを迎えている。これまで我々はまず2002年にラット脊髄損傷モデルにラット胎仔由来神経幹細胞移植による運動機能の回復について報告した(Ogawa et al., 2002).これに引き続き小型霊類コモン・マーモセットの開発とヒト胎児由来神経幹細胞移植による機能回復にも成功し、安全性と有効性の確認を行った(Iwanami et al. 2005)。しかし、2006年から施行された胎児細胞を用いる点につき、倫理的な側面から「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の対象外となり、その臨床応用は見送られた。同2006年、山中教授のマウスiPS細胞に関する論文発表に伴い、成体体細胞から作成した多能性幹細胞であるiPS細胞を用いた脊髄損傷の再生医療の開発を開始した。2011年、2012年にはマウスおよびマーモセット脊髄損傷モデルにヒトiPS細胞由来神経前駆細胞を移植し、質の良い細胞が移植された場合は腫瘍原性がなく、長期にわたり運動機能の改善に寄与することを示すことができた(Nori et al., 2011; Kobayashi et al., 2012)。これらの結果は、レトロウイルスベクターによる遺伝子導入により、染色体に遺伝子挿入のあるヒトiPS細胞(第一世代iPS細胞)から作成した神経前駆細胞であり、すぐには臨床に使えないものであった。この度我々は、episomalベクターを用いてCiRAのCPCで作成され、染色体に挿入にないiPS細胞ストックから誘導した臨床グレード神経前駆細胞を用いた臨床研究(を計画しており、これらの準備状況の詳細(Tsuji et al., Stem Cells, 2018)と当座の課題と、臨床研究開始後の今後の展望について議論したい。
また、本日はiPS細胞技術を用いたALSの病態解析と創薬研究 (Fujimori et al., Nat Med, 2018)とそれに基づく治験について概説する。

略歴

1983年慶應義塾大学医学部卒業。
慶應義塾大学医学部助手、大阪大学蛋白質研究所助手、米国ジョンズホプキンス大学医学部研究員、東京大学医科学研究所助手を経て、1994年筑波大学基礎医学系教授、1997年大阪大学医学部教授、2001年より慶應義塾大学医学部教授(現在に至る)。

2007年より慶應義塾大学大学院医学研究科委員長、2015年4月より慶應義塾大学医学部長、2017年10月より慶應義塾大学大学院医学研究科委員長(現在に至る)。専門は、神経科学、幹細胞医学。現在、日本神経科学学会・副会長、日本再生医療学会理事、国際幹細胞学会(ISSCR)理事。2006年文部科学大臣表彰、2009年紫綬褒章、2014年第51回ベルツ賞(1等賞)受賞など。

 

【講演概要その2】 

講師宮島 篤先生(東京大学定量生命科学研究所 幹細胞創薬社会連携研究部門 教授)

講演タイトル:iPS細胞による膵島移植療法の開発

講演概要:重症インスリン依存性糖尿病の治療として膵島移植が有効であるが、絶対的なドナー不足と長期の免疫抑制剤の使用による副作用と高額医療費という大きな課題がある。再生医療実現拠点ネットワークプロジェクトの膵島チームでは、こうした課題を解決するためにヒトiPS細胞を機能的な膵島へと分化誘導する系を確立し、臨床研究用膵島の調製のための大量培養系も開発してきた。しかし、実用化には培養にかかるコスト削減が重要な課題であり、その解決法の開発も行っている。また本拠点では、ハイドロゲルファイバーに細胞を封入して移植することで、免疫抑制剤を使わない他家細胞移植法の確立を目指している。糖尿病マーモセットにiPS—膵島をファイバーに封入して移植すると血糖値を正常化することを確認した。膵島ファイバーの体内での長期安定性など検討しており、早期の臨床研究の開始を目指している。


略歴:

AMED再生医療実現拠点ネットワークプログラム
「iPS細胞を基盤とする次世代型膵島移植療法の開発拠点」代表 2013〜

1980年  東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻終了 理学博士
1980年  静岡大学理学部助手
1982年  米国DNAX 研究所 ポスドク
1983年  同 研究員
1988年  同 主任研究員
1994年  東京大学分子細胞生物学研究所 教授
2018年  東京大学定量生命科学研究所 特任教授

1999-2004年 神奈川科学技術アカデミー 「幹細胞制御」プロジェクトリーダー
2003-2009年 東京大学分子細胞生物学研究所 所長

 

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