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細胞医療の時代2018シリーズ

「第7回  細胞移植から臓器移植へ

​​

日時:2019年3月28日(木)18時30分~20時15分

​講師:岡本 隆一先生(東京医科歯科大学再生医療研究センター 教授) 

​   中内 啓光先生(スタンフォード大学 幹細胞生物学・再生医療研究所 教授、

           東京大学 医科学研究所 幹細胞治療部門 特任教授)

参加費:1,000円(学生、健康医療開発機構会員、未病社会の診断技術研究会会員は無料)

場所:東京大学医科学研究所 講堂 (港区白金台4-6-1)

   ※17時30分以降は正面入り口のドアが閉まります。講堂左側の入り口よりお入りください。

【当日の予定】

18:30~18:35 挨拶(理事長 珠玖洋または谷憲三朗)
18:35~19:15 岡本隆一先生講演
19:15~19:25 討議
19:25~20:05 中内啓光先生講演
20:05~20:15 討議 

​20:30より    懇親会  ​ 医科研近隣レストランにて 会費:3,000円程度

新構内図.jpg

​医科研内駐車場が有料になりました。お車でお越しの際はご注意ください。

​駐車料金の詳細が必要な方は、事務局(npotrnetworks@gmail.com) までお問合せください。

【講演概要その1】 

講師岡本隆一先生(東京医科歯科大学再生医療研究センター 教授)

講演タイトル:炎症性腸疾患に対する再生医療の開発

講演概要:炎症性腸疾患は消化管に原因不明の慢性炎症が惹起され、これにより「潰瘍」に代表される消化管組織の構造的・機能的傷害を来す疾患である。わが国に於いて潰瘍性大腸炎、クローン病合わせて20 万人以上の患者が治療の対象となっており、患者数は年々増加する一方である。炎症性腸疾患は「免疫応答の異常」が主たる発症要因の1つであり、従って如何に「炎症」を制御するかという点に焦点を充て、治療法の開発が進められてきた。この結果、抗TNFα抗体を初めする分子標的・生物学的製剤が登場し、従来治療では寛解導入・維持が困難であった多くの症例に画期的な効果を発揮している。
 しかしながら近年の多くの臨床研究により、これら生物学的製剤を用いても長期寛解維持を得られない症例が少なからず存在するだけでなく、長期に渡る良好な予後を規定する最も重要な因子は「傷害粘膜の再生(粘膜治癒)」であることが示されている。従来治療では「粘膜治癒」が得られない患者に対し、さまざまな新しい治療法の開発が試みられているが、治療効果を有する細胞の移入・移植を用いた「再生医療」もその1つである。当施設では「粘膜治癒」を達成するための粘膜再生治療として、患者由来の「腸上皮オルガノイド」を利用した治療法の開発・実用化に取り組んでいる。本講演では当施
設における取り組みの現状を紹介し、同治療開発における将来的な展望について、議論したい。

略歴:1996 年 東京医科歯科大学医学部医学科を卒業
1996 年 東京医科歯科大学医学部第二内科医員(研修医)
1997 年 国家公務員共済組合連合会東京共済病院・内科研修医
1998 年 長野県厚生連北信総合病院・医員 (消化器内科)
2000 年 柏市立柏病院・医員 (消化器内科)
2004 年 東京医科歯科大学大学院・医歯学総合研究科修了 (医学博士)
2004 年 学術振興会特別研究員
2007 年 東京医科歯科大学大学院・消化管先端治療学・准教授
2014 年 東京医科歯科大学大学院・再生医療研究センター・教授 (現職)
2018 年 東京医科歯科大学・学長特別補佐 (シンクタンク・併任)

 

【講演概要その2】 

講師中内 啓光先生(スタンフォード大学 幹細胞生物学・再生医療研究所 教授、東京大学 医科学研究所 幹細胞治療部門 特任教授)

講演タイトル:「iPS細胞から臓器をつくる: 国境を跨いだ挑戦」

講演概要:臓器移植は臓器不全症に対する有効な治療法であるが、ドナー臓器の不足、免疫拒絶、脳死移植や生体腎移植等に関して多くの医学的、社会的、倫理的問題を抱えている。近年、iPS細胞作製技術が確立され、患者由来の多能性幹細胞を容易に造り出すことが可能になった。 患者由来の幹細胞から腎臓や膵臓といった実質臓器を再生することができれば、移植医療に関連したこれらの問題を解決することができる。しかしながら幹細胞から立体的な構造を持つ臓器を試験管内で作り出すことは難しい。そこで我々は「臓器ニッチ」という考えのもと、遺伝子改変により特定の臓器を欠損する動物個体内でiPS細胞利用して患者自身の臓器を作出することを考えた。この方法は臓器発生の機構を理解するための新たな方法論を提供するとともに、将来的に異種動物個体内でヒトiPS細胞由来の臓器を再生するといった、全く新しい再生医療技術の開発に貢献するものと期待される。


略歴:

昭和51- 52年       ハーバード大学医学部留学(サンケイスカラシップ海外奨学生)

昭和53年                 横浜市立大学医学部卒業

昭和53- 54年         横浜市立大学病院内科研修

昭和58年                 東京大学大学院修了(免疫学、多田富雄教授)

昭和58年-60年       スタンフォード大学医学部遺伝学リサーチフェロー

昭和59年-62年       順天堂大学医学部免疫学研究室助手・講師(奥村 康教授)

昭和62年-平成7年    理化学研究所・国際フロンティア研究システム 研究員、造血制御研究チーム・チームリーダー 

平成5年-14年          筑波大学基礎医学系・免疫学・教授

平成14年- 20年      東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター・教授    

平成19年- 現在         ERATO「中内幹細胞制御プロジェクト」研究総括

平成20年- 24年      東京大学iPS研究拠点・リーダー

平成20年- 29年      東大医科研・幹細胞治療研究センター・センター長

平成23年- 24年      Sabbatical (Stanford University, Cambridge University)

平成26年- 現在         Stanford大学幹細胞生物学・再生医学研究所・教授

平成29年- 現在         東京大学医科学研究所・特任教授

 

専門分野:   幹細胞生物学、血液学、免疫学

所属学会:   ISSCR, Board of Directors(2004−2008)

                       日本再生医療学会 理事長(平成20−22年)                                  

受  賞:    

平成16年         第41回ベルツ賞 (1st prize)

平成21年         国際実験血液学会Donald Metcalf Lecture Award受賞

平成23年         Royan International Research Award 受賞

平成25年         国際幹細胞研究学会(ISSCR)

                        Ernest McCulloch Memorial Lecture Award 受賞

平成27年         日本血液学会賞

平成28年         Beatrice and Jacob H. Conn Lectureship in Regenerative Medicine、The Johns Hopkins University

以上

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