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第47回健康医療ネットワークセミナー 報告

「リビングウィルとACPー日本の尊厳死、海外の安楽死事情ー」

長尾和宏先生 ​(医療法人社団裕和会 理事長、長尾クリニック院長、日本尊厳死協会 副理事長)

第47回健康医療ネットワークセミナーが2019年11月22日、東京大学医科学研究所講堂で開催され、53名の方が参加しました。
わが国では、年間死亡者数は130万人を超え、多死社会のピークは2040年で165万人と予想されており、現在病院で亡くなる人は全体の約8割となっています。
枯れていきながら亡くなる平穏死(自然死、尊厳死)、様々な措置によって溺れていきながら亡くなる延命死。人生の終末期における延命措置の“やめどき”。誰でもいつか死ぬのに、”死“に対する理解や教育がおろそかになってきました。”尊厳死”問題が長らくタブーであった日本は、世界で唯一尊厳死が法的に担保されていない国となっています。欧米諸国ではすでに法律制度が整い、1993年に公開された伊丹十三監督の「大病人」に触発された台湾では2000年に法制化、韓国でも2016年に制度化されました。
尊厳死とは、人間が人間としての尊厳を保って死に臨むこと。誰もが尊厳死をもって自然な死を迎えたいと思っていても、医療が進歩している現代では大変難しくなっており、また終末期での「本人の意思の尊重」の重要性や、リビングウィルとACP(アドバンス・ケア・プラニング)について、そして”尊厳死“と”安楽死“の具体的な違い、海外における安楽死の事情も紹介いただきました。
長尾先生の活動は、「痛くない死に方」として映画化が決定し、2019年夏にクランクイン。“病院”か“在宅”か、患者と家族、医師のリアルな在宅医療の現場が描かれ、2020年夏公開予定です(原作:「痛い在宅医」、監督:高橋伴明、主演:柄本明)。
http://www.drnagao.com/news/news_20190827_10789.html


アンケートでは、”尊厳死“を法制化する場合の具体的な法的担保についてもっと話を聞きたかったとのご意見もありましたが、ごく限られた時間で質疑応答の時間まで設けていただき、日本で尊厳死が法制化に至らない事情、一人暮らしでも可能な看取りなど、最後までご自身の体験に裏打ちされたお話を聴くことができました。
 

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